今回は同じ視点で、別の例をご紹介します。
寒い冬の日、お友達の誕生日会が終わり、
子どもがお母さんといっしょに帰宅するときのこと。
部屋の中は暖房がよく効いていて、
元気に遊び回っていた子どもたちはみんな
セーター類を脱ぎ捨てTシャツ１枚です。
あるお母さんは、子どもに「上着を着なさい」と言い、
子どもは「やだ！」と言い返し、着ようとしません。
それでもお母さんは
「ここは暖かいけど外は寒いの！着なさい！」
と頑張ります。
最終的にはお母さんの勝利。
子どもはしぶしぶ上着を着て、帰り支度をしはじめました。
この場合、誰が「外は寒い」と感じているのでしょうか。
子ども？
それともお母さん？
もしも、こんな状況だったらどうでしょうか。
お母さんが子どもを連れてフィットネスに行き、
暖房の効いた室内で散々身体を動かし、
身体がぽかぽかになりました。
帰る時間になったとき、子どもに
「外は寒いから上着を着たら？」
と言われたらどうでしょうか。
上着、着られますか？
子どもは概して「いま」に生きています。
大人は概して「未来を予測する」ことが上手です。
だからこそ、大人は子どもを守ることができるんですよね。
その反面、今を感じることは子どもの方が上手です。
「いま」暑いから。
「いま」寒いから。
これが、非常にシンプルな子どもの言い分です。
これを否定されてしまうと、子どもは親に対して
「自分のことを分かってもらえない」
「親に否定されてしまった」
という気持ちを抱えてしまいます。
とくに小さい子の場合、
親を説得できるだけの言語能力がないだけに、
自分自身のこころのうちをうまく説明できませんね。
「いままで暖房効いた部屋で沢山身体を動かして
汗かいてとっても暑いから、いくら外が寒くても、
いまはまだ、上着は着たくない」
とは、言えませんよね。
お母さんはお母さんで、子どものためを思うからこそ
風邪ひかないで欲しい、寒い思いをさせたくない
という気持ちがあり、
ついついキツい口調になってしまうこともあるでしょう。
子どものことを心配すること、それ自体は
決して悪いものではありません。
ただ、「上着を無理矢理着せる」ことでは
その気持ちは子どもには伝わらないどころか、
むしろ逆に子どもに否定的な感情を与えてしまうことがあるのです。
こういうときはぜひこの方法を試してみて下さい。
簡単な２ステップです。
１）子どもの「いま」を認め、言語化して伝える
「そうだね、○○ちゃんは、今は着たくないんだね、
その気持ち、よくわかったよ」
２）自分の気持ちを言語化し、子どもに伝える
「お母さんは、○○ちゃんがお外に行って、
急に寒くなっちゃうと困るから、今のうちに上着を着てほしいの」
どんなに小さな子どもであっても、
まだ言語を習得しきれていない年齢であっても、
子どもはお母さんの言葉を聞いています。
それに従うか従わないかは別として、
必ず聞いています。
言葉というものは、子どもに命令するためのものではなく、
子どもとコミュニケーションを図るための道具ですよね。
その道具をうまく使うことによって、
小さい子の気持ちを安心させたり
お母さんの想いを理解してもらったり
信頼関係を築いたり、
ということが可能です。
一方通行的な言葉遣いではなく、
丁寧にコミュニケーションをとる気持ちで
上記の方法をぜひ試してみて下さいね。
たとえ最初はうまくいかなくても、ちょっと続けてみてください。
きっと変化を感じられますよ。
カウンセリングは、こころが弱いから受けるのではありません。
定期的に健康診断を受けたり、温泉やマッサージに行ったりして自分の身体を自分で管理するのと同じで、こころの状態も健康に保つべく管理し、自分自身を慈しみ、よりよい人生を送るために活用できるもの。
つまり、✨自分の人生をより自分らしく輝かせて生きるためのもの✨なのです。
ぜひご活用くださいね。
＊お知らせ＊
親教育の翻訳に関わる企画を優先させるため、
しばらくカウンセリング業務はお休みします。
再開時期が決まりましたらお知らせいたします。
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