「子どもについつい怒ってしまって・・・」
というお母さん、お父さん。
少なくないと思います。
「叱る」ならまだしも、「怒る」と感情が強く動き、制御することが難しくなってしまうことだってありますよね。
では、「叱る」と「怒る」の定義と、違いは何でしょうか。
goo辞書で調べてみました。
【叱る】
目下の者の言動のよくない点などを指摘して、強くとがめる。「その本分を忘れた学生を―・る」
【怒る】
1 不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。「真っ赤になって―・る」
2 よくない言動を強くとがめる。しかる。「へまをして―・られた」
「怒る」の意味の2番目には、叱るの要素も入っているんですね〜
しかし、逆に「叱る」の方には「怒る」の要素、つまり感情的な表記は含まれていません。
単純に図解すると、こんな図になりそうです。
実際のところ、子どもに対して「怒る」場合、辞書にあるように「よくない言動を強くとがめる」意味合いはあれど、それに付随して親である自分自身の「不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す」要素も含まれてしまいがちです。
噛み砕いて言うと、例えばこんな状況が想定できます。
子どもが混んでいるお店のレジの前にあるおもちゃを指差して、でだだをこねています。
子ども「あのおもちゃ買ってくれなきゃヤダ〜〜〜!!」
「欲しいの〜〜〜!!」
親 「ダメって言ってるでしょ!買わないの!!💢」
「他の人のお邪魔でしょ!!そこどいて!💢」
この場合、親の言動は、子どものよくない言動(わがままで自分勝手なふるまいをすること)をとがめ、たしなめる意味合いがメインとなります。つまり、親は子どもを教育的、指導的に「叱って」います。
しかし、それと同時に「怒る」の要素も入り込み、感情的に「ダメ!」と声を荒げて、心情的には「お店で人の前でダダこねられて、もー!イライラする!」という気持ちが上乗せされていそうです。
では、この状況で親の「怒る」の要素を抜き、「叱る」だけにするとどうなるでしょうか。
子ども「あのおもちゃ買ってくれなきゃヤダ〜〜〜!!」
「欲しいの〜〜〜!!」
親 「欲しいよね。そうだよね。でも、今日は買わないよ。」
「ほら、ほかのお客さんのお邪魔になるから、もうちょっと向こうにいこうか。」
というような対応になるかもしれません。
この場合、親は子どもの感情的な言動に振り回されず、子どものトーンに同調せず、教育的な要素だけでたしなめています。
しかし実際の生活で、果たしてこんな風に常に理性的であることが可能かどうか、あるいはいつも冷静でいる必要があるかどうかを考えると、別にいつでもそんな風にふるまう必要はないと思います。
私だって、ついつい「コラ〜〜〜〜!」となってしまうことがあるし、事実として、親がそんな風に感情的なることが必要な場面だって時には出てきますよね。
特に、命にかかわること。
子どもの年齢にもよりますが、例えば子どもが急に道路に飛び出していったら「ダメだよ。飛び出すとね、車が来てね、ぶつかっちゃうかもしれないよ。そうするとね、血が出てね、痛いんだよ。」なんて悠長に説明してられません。こっちも突発的、噴火的に「コラ〜〜〜〜!」とか「ダメ〜〜〜〜!」となる必要性が出てきます。
それでもなおこの「怒る」と「叱る」の区別は、子育てする上でとても大事な部分だと思うのです。
特に、親御さんご自身に
「いつも子どもに対して怒ってしまって、優しくできない。」
「毎日怒ってばかりで、こんな自分がイヤだ。」
「怒るのをやめたいのに、どうしても『叱る』ではなく『怒る』になってしまう」
という思いがある場合。
子どもに対しての「怒る」「叱る」は、その両者を意識して「怒らないように、叱るように」しようと思っても、自分でコントロールしていくのはなかなか難しいものです。
この違いに敏感で、意識的でまじめな方ほど「子どもをちゃんと『叱ろう』と思っていたのに、また『怒って』しまった」という失敗感や挫折感、無力感を強めてしまっていることも。
では、どうやったら上手に「叱る」ことができ、感情的に「怒る」ことを減らしていけるの?
私がおすすめする方法はいくつかありますが、この記事では以下のふたつを取り上げてみます。
1)自分にかかっているストレスを軽減する
2)なぜ怒っているのか、観察してみる(内観)
1は、例えばこんな状況と似ています。
Aさんは肌荒れがひどく、塗り薬をいつも塗っているが、ちょっとしたことで肌荒れが悪化したり、塗り薬が切れるとすぐにまた肌が荒れてしまう。
しかし、思いがけず、Aさんには食物アレルギーがあることがわかりました。アレルギー反応が出ている食品を除去したところ、肌荒れはなくなり、塗り薬を塗る必要もなくなりました。
この場合、「肌荒れ」が「怒ってしまうこと」だとします。「塗り薬」は、言ってみれば「意識して怒らないようにすること」。そして、「除去すべき食品」こそが「ストレス」。
表面的な部分(肌荒れ=怒ってしまうこと)ではなく根本(食品=ストレス)を解決したら、余計な反応(肌荒れ=怒ってしまうこと)が出て来なくなり、表面的な対処(塗り薬=意識して怒らないようにすること)が不要となった、ということです。
2は、においを例にしてみましょう。
Aさんの家で、なぜだか臭いにおいが発生してしまい、気になるのでにおい消しスプレーをシュッシュ。それでもにおいはなくならないので、仕方なく大掃除を始めました。すると、台所のすみっこで痛んでいるタマネギを発見!これを捨てたところ、においの問題はなくなりました。
「においが発生する」ことが「怒りが出てくる」ことだとしたら、その原因となるものが何かを探すことが有効です。日々、何だか臭い・・・という現象は、コントロールができません。しかし、一旦その原因となるもの(台所の隅の痛んだタマネギ=思考の中にある原因)さえ見つけてしまえば、それを意識的につまんで捨てることができますよね。
1のように、単純に、日々のストレスを軽減すれば怒りの感情がわいてきづらくなる場合もあるし、2のように、何かしら具体的な理由があって怒りにつながっている場合もあるので、意識して自分の内面を観察することは、「怒る」と「叱る」を使い分けるためには有効です。
中には、2の、つい怒ってしまう原因を探っていったら、子どもの顔が離婚した元配偶者のものと似ているため、子どもに対して理性的に叱るのではなく、無意識的にいつも怒ってしまいがちだった(離婚した元配偶者に対するいらだちを子どもに投影していた)ということが分かった😵というような例もあり、原因を突き止めるって、本当に大事だな〜〜と思います。
繰り返しになりますが、単に、「怒っちゃダメ。叱る、をしないと!」というストイックな気持ちだけでは、使い分けることは難しいです。
ちょっと回り道のように感じられるかもしれませんが、ご自分の感情と向き合い、観察し、そこにあるものを見据えていくことが、変化への近道になりますよ。
カウンセリングは、こころが弱いから受けるのではありません。
定期的に健康診断を受けたり、温泉やマッサージに行ったりして自分の身体を自分で管理するのと同じで、こころの状態も健康に保つべく管理し、自分自身を慈しみ、よりよい人生を送るために活用できるもの。
つまり、✨自分の人生をより自分らしく輝かせて生きるためのもの✨なのです。
ぜひご活用くださいね。
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