子どもの言い分

 

先日、あるお母さんからこんなご相談を受けました。

 

 

「うちの子、

　クリエイティブなことができなくて。

　絵もうまくかけないし・・・

　本人は好きみたいなんだけど 😥 」

 

 

この問題、どのように解釈したらいいと思いますか？

ご一緒に、ひとつずつひもといてみましょう。

 

 

まず、お子さんが「クリエイティブなことができない」ことが

問題となっていますよね。

 

 

では、その問題は誰の問題なのでしょうか。

お母さんのお話からは、

それは子どもの問題であるように見受けられます。

 

 

しかし、ここが重要なところなのですが、

『問題である』と感じているのは誰でしょうか。

 

 

子ども？

それともお母さん？

 

 

問題だと感じているのは、そうです。

まぎれもなくお母さんですね。

お子さん自身はクリエイティブなことが「好き」なのですから。

 

 

さて、ここで見えて来るのはお母さんの中にある

『枠』です。

 

 

お母さん自身のなかに、

「クリエイティブとはこういうことだ」

「絵がうまいというのはこういうレベルだ」

「好きと上手いは、上手いが優先される」

などの『枠』、言ってみれば基準があり、

 

 

その枠に当てはまらないものを

「問題だ」と感じられているようです。

 

 

子ども自身は絵を描くことが好きであり、

自分のことをクリエイティブだと思っているかどうかは

分かりませんが、

絵を描いたりものを作ったりすることが「好き」。

 

 

そして、その創造物、結果、作品に対して

お母さんご自身が

「クリエイティブだと感じられない」

「子どもの描いた絵が上手いと感じられない」

 

 

という状態なのですよね。

 

 

さて、もういちど、

今度は子どもの立場から問題に戻ってみましょう。

 

 

お母さんの話からわかることは、お子さんは

クリエイティブなことが「好き」。

そして、自分が作り上げたものや描いた絵に対して批評せず、

作り上げるプロセスに対して「好き」の気持ちを持って

楽しんで取り組んでいる。

 

 

このことに対して、何か問題はありますか？

 

 

「子どもがクリエイティブなことができない」

と考えているのはお母さん。

「子どもの絵がうまくない」

と評価しているのはお母さん。

 

 

そして、それらの枠、基準をお子さんはまだ持っていませんね。

だからこそ、自分の作品を評価したり、作品を作ることを

やめていないのです。

 

 

一旦子ども自身が大人のような基準を持って、

「自分はクリエイティブなことができない」

「自分は絵をうまく描けない」

という風に評価しはじめたら、

きっとすぐに創造的なあそびはしなくなるでしょう。

 

 

そして、そのような枠、基準を子どもたちに与えているのは

大概私たち、身近な大人たちなのです。

 

 

このお母さんの場合、短時間のお話であっという間に理解され、

「子どもにレッテルを貼っていたのは自分自身だったんだ」

ということに気づかれました。

 

 

そして、

「子どもさえ、楽しめていればいいんですね。

　その作品が上手いだの下手だのの評価は

　大人の解釈であって、

　作品作りを楽しんでいる子どもには

　必要がないことに気がつきました」

とおっしゃっていただけました。

 

 

まさに、一瞬で問題が解決した瞬間でした 😀 

 

 

このように、問題を感じたときには

「それは誰の問題なのか」、

「問題だと感じているのは誰なのか」

という部分を見つめてみると、

問題解決の糸口が見えてくることが多くありますよ。