今日はたまたま目にした読売新聞の、この投書に関して書いていきます。
「中三息子がゲームばかり」
投書の概要は、スマホのゲームをしてばかりの中学三年生の息子に対し、シングルマザーである母親が困っているというもの。
40代の会社員。シングルマザーです。中学3年の息子がどうしようもなくて、嫌になります。
高校3年の娘は大学受験に向け、親の私が驚くほど熱心に勉強しています。
それに対し、息子は部活をやめさせられて以来、スマホのゲームばかりしています。
同居する私の両親が息子のことで私に小言を言い、私は怒りを10倍にして息子にぶつけケンカになる。いつもこの繰り返しです。将来、こんな感じで定職に就かず、家でごろつかれても困ります。息子を自分の人生から抹消したいとさえ考えます。
本人にも、「こんなクズ、産むんじゃなかった」と言います。
一時は息子の人生は息子が決める、私は明るくしてさえいればいいと、自分に言い聞かせていました。
でも、こんな日々がいつまで続くのかと思うと、今更生させるべきなのかと悩みます。
これに対する回答は、以下の通り。
子供は必ずしも、親の思い通りに育たないものです。
さりとて自分の人生から息子さんを抹消したいとは尋常ではありません。 「こんなクズ、産むんじゃなかった」とまで母親から言われて、よく息子さんは耐えていると思います。
お手紙には部活をやめさせられたと書かれています。
事情がよくわかりませんが、高校受験か何かを理由に、息子さんの意思とは無関係に やめさせられたのでしょうか? そうでしたら、気持ちの整理がつかないのは当然です。
しかも家の中では、対照的に優等生のお姉さんが輝いていて、自分をめぐって祖父母の小言が飛び交い、母親からは存在を全否定されているのです。
唯一の逃げ場がスマホゲームになっているのだと思います。 あなたはすでに息子さんを精神的に抹消しているのと同然です。
まず息子さんへの接し方について率直にあやまってください。
今、何を考えているのか、何をしたいのか、じっくり聴いて下さい。 娘さんと比べることはやめて、息子さんの良いところを探して下さい。
この先、ひきこもったり暴力を振るったりするほど追いつめないために、即刻あなたのこころと態度を改めるべきです。
全くもって、正論です。素晴らしい。
「こんなクズ、産むんじゃなかった」とまで母親から言われて、よく息子さんは耐えているなという点、私もそう感じました。
まず先に母親の態度を改めることで、息子さんの行動に変化をもたらすことができるのでは、という部分にも共感します。
しかし、私がとても気になった点は、「怒り」を抱えているお母さんの気持ちです。
怒りという感情は、概して本来の感情とは別物で、言ってみれば一次的な感情ではなく二次的なものである場合が多いようです。
一次的?二次的??
これだけだとよくわかりませんね。
もう少し噛み砕いて言えば、例えばあなたが友達と待ち合わせをしていたとします。
このとき来るはずの友達が、何の連絡もなく、メールも電話もつながらず、30分遅刻してきたら・・・?
イラッときますよね。
いざ友達が現れたら、「もー!なんでこんなに遅れたの!!💢💢」と文句を言ってしまいそうです。
大事な用事があったとしたら、文句どころか怒りに発展することだってあるでしょう。
しかし、ちょっと待って。
この感情をよく見ていくと、イライラした気持ちや怒りは一次的な感情ではないのでは、ということに気がつきます。
友達が5分遅れたら、「電車が遅れたのかな」とか、「道が込んでるのかな」という気持ちが出てきませんか?
10分、15分が過ぎたら「大丈夫かな、何かあったのかな」という気持ちになってくることはないでしょうか。
つまり、一次的な感情とは、この場合は「心配」です。
最終的に「怒り」が出てきたとしたら、それは「心配」の次の段階です。
こういった「怒り」は「自分のことをないがしろにされた」という無意識的な思いや無価値感からも発生することがあり、ちょっと複雑な感情でもあります。
さて投書に戻り、お母さんの心情を見てみましょう。
お母さんは少なからず「怒り」の感情を抱えているのが見てとれます。
この怒りの下には、どんな感情が隠れているのでしょうか。
怒りの矛先が息子さんに向いている場合でも、隠れている感情は、必ずしも息子さんに対する感情だけとは限りません。
そしてこの状態にいるときに、「正論」が通用するかどうか気になるところです。
息子さんに対して自分が悪かったと謝ったり、態度を改めたりということが有効であると頭では理解できたとしても、こころの状態が不安定な時、果たしてそれを素直に認め、容易に実行できるでしょうか。
まず自分のこころを見つめ、怒りの正体を見極めて、何に由来しているのかをひもといたり、それを解放していくことで本来の安定した気持ちを得ることができ、自然とおおらかなお母さんに戻ることができるのではないでしょうか。
もちろん正当な理論が先に出ることで変化をもたらすこともできますが、理論はあとで、こころのデトックスを先にした方が効果が出やすい場合もあるようです。
この投書に関しては「最近の親は・・・」とか、「母親が悪い!」などと批判が多くあったようですが、私は非常に勇気ある投書だったのではないかと感じました。
普通は「ダメな母親」と思われたくない気持ちが働き、ここまで素直に自分の感情を綴ることは難しいように思います。
しかし、ダメな母親、というものはありません。
ちいさないのちをお腹に宿し、出産という命がけの大仕事を経てお母さんになったのですから、たとえ子どもが憎たらしく思える時期があったとしても、産むんじゃなかったと感じる時期があったとしても、それはお母さんの本質ではありません。
その辛い状態からは、必ず回復していけます。
【子どもを追いつめるダメな母親】
という善と悪の構図って、もう少し突き詰めてみれば
【子どもを追いつめてしまうほど追いつめられた母親】
という構図なのではないでしょうか。
子どものせいで、旦那のせいで、あるいは状況のせいでこんなことになっている等々、問題が外側にあると感じている場合でも、実は外側を変えるのではなくて、自分の内面をしっかりと見つめていくことで解決の糸口が見えてくることがあるのです。
自分が抱えているストレスや、目に見えない無意識領域に沈めてしまった感情などが作用し、外側の景色を一変させてしまっていることはとても多いですから。
時には信頼できる人に、ただただ話を聞いてもらうだけでもストレスを解消することができますし、誰かの意見を求めずとも、自分の気持ちを言語化し、辛いことや腹が立つことをひたすら話し続けることでおのずと自分が抱えている感情が見えてきたり、溜まりに溜まっていたものがスッキリと出て行くのを感じられたりするものです。
「話す」は「離す」につながるとはよく言ったもので、こころのデトックスには非常に有効です。
このときのポイントは、「ジャッジしない人」「話に口を挟まない人」「他言しない人」を選ぶ、ということでしょうか。
(予約枠が少なくて申し訳ないのですが、私もこころのデトックスを応援し、話をひたすら聞く、ということをしています。詳細はページ下部の「ボイスマルシェページへ」をクリックしてご覧ください。)
この投書をされたお母さん、また同じような状況におられるお母さんたちが、必要以上に自分を責めたり罪悪感を感じることなく、こころ穏やかにお子さんと関わっていけますように。
カウンセリングは、こころが弱いから受けるのではありません。
定期的に健康診断を受けたり、温泉やマッサージに行ったりして自分の身体を自分で管理するのと同じで、こころの状態も健康に保つべく管理し、自分自身を慈しみ、よりよい人生を送るために活用できるもの。
つまり、✨自分の人生をより自分らしく輝かせて生きるためのもの✨なのです。
ぜひご活用くださいね。
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